最近、高齢者をターゲットにした特殊詐欺事件が相次いで報道されています。
以前から「オレオレ詐欺」「振り込め詐欺」といった、電話・FAX・メール等を利用して現金をだましとる詐欺の手口は、新聞やニュースで大きく取り上げられていましたが、なぜ最近になり再び注目されているのでしょうか。
今回は、詐欺の実態とその予防法についてお伝えします。
|増え続ける高齢者の詐欺被害報告
警視庁によると、特殊詐欺被害者に占める高齢者の割合は年々増加傾向にあり、平成31年1月から令和元年11月までの特殊詐欺被害は、1万6,244件に上りました。(参照元:警視庁「令和2年版 警察白書」より)
このうち65才以上の高齢者が8割以上を占め、特に70歳以上の女性の被害が多く、全体の6割を占めている現状です。今後少子高齢化が進む日本では、さらに詐欺被害が増えることが推測されています。
|特殊詐欺の手口
被害が一向に減少しない背景には、詐欺の手口がより巧妙かつ多様化してきていることが考えられています。そのため日ごろから被害にあわないよう気をつけている人でも、うっかり騙されてしまうケースがあるそうです。
代表的な手口として、次の3つがよく知られています。
■オレオレ詐欺
子どもや孫になりすまして電話をかけ、「会社のお金を横領した」「交通事故を起こした」などと偽り、お金をだましとる詐欺のことです。
犯人が家に直接現金を受け取りにくるケース、ATMからお金を振り込ませるケース、キャッシュカードを受け取り口座からお金を引き落とすケースのほか、警察官や会社の上司をかたるニセモノの第三者が出てくる「劇場型」などやり口はさまざまです。
【よく使われる謳い文句】…「携帯電話を落として番号が変わった」「あなたの銀行口座が犯罪に使われています」
■架空請求詐欺
メールやハガキなどで、本人の身に覚えのない料金を請求してくる詐欺のことです。
公的機関を連想させるような差出人の名称や「訴訟」や「差し押さえ」といった言葉を記載することで不安を煽り、プリペイドカード払いやコンビニ払いなど、支払い方法を指示してお金を請求してきます。
【よく使われる謳い文句】…「以前見たサイトから料金が発生している」「支払わない場合は裁判所から督促状がいきます」
■還付金詐欺
突然電話をかけてきて、医療費の払戻金や年金の還付金があるなどと言い、ATMでお金を振り込ませる詐欺のことです。
「お金を受け取るにはATMでの手続きが必要」といってATMへ誘導し、手続き内容を説明するふりをしながら、犯人の口座へお金を振り込ませます。実架空請求詐欺と同様、市役所や年金事務所など公的機関を名乗るため、だまれやすく注意が必要です。
【よく使われる謳い文句】…「医療費が戻ります」「年金の一部未払い分が戻ります」
その他、購入していない商品を勝手に送りつけて代金を請求する「送り付け詐欺」、宝くじに当たったなどと連絡をしてきて受け取りの手数料を請求する「当選商法」、健康食品などの無料体験を装って誘い出し、最終的に高額な商品を購入させる「催眠商法」などがあります。
詐欺集団や悪徳業者は、昼間に1人で過ごすことの多い高齢者を狙い、あらゆる手口で現金をだまし取ろうとします。
|詐欺被害を防ぐために
まず、「誰もが被害に遭う可能性がある」ということを認識することが重要です。
その上で、日頃から詐欺防止について取り組んでおきましょう。
POINT1: 詐欺について話をする
今どんな詐欺が増えているのか、それはどんな手口なのかなどについて身近な人と話をすることで、自然と危機意識が高まります。また、不審な電話に遭遇した場合に備え、事前に家族間で合言葉を決めておくことも有効です。
POINT2: ATM利用限度額を引き下げる
銀行に行き、ATMで1日に手続きができる限度金額を引き下げましょう。仮に、誘導されてATMでのお金の引き出しや送金の指示があったとしても、被害を最小限に抑えることができます。
POINT3: 留守番電話の設定にしておく
身に覚えのない電話には直接出ないことも、防止につながります。電話を着信すると警告メッセージが流れるようにしたり、通話録音・着信拒否をしたりする「振り込め詐欺防止装置」を利用するのもおすすめです。
いかがでしたでしょうか。日常的な対策が、もしもの時に役立ちます。
もし、お金を要求するような連絡や高額商品の勧誘などがあったら、行動に移す前に「消費者ホットライン(188)」や「警察相談専用電話(#9110)」へ電話をかけましょう。万が一、詐欺に遭ってしまった時には、すぐに警察へ通報し指示に従ってください。